【天使になった長男のこと(22)】出産後 ⑯14日め…告別式•火葬。たいせいが空に還った日。

前回はこちら

 
 

6月18日  土曜日   生後14日め。

 
 
 

朝起きて、おっぱいを綿棒でちょんちょんと口につける。

 
 
 

ママの味覚えたかな?

 
 

また飲みたくなったら来るんだよ。

 
 

いつでも待ってるからね。

 
 

約束だよ、ゆびきりげんまん。

 
 
 

みんなに代わる代わる抱っこしてもらって、
最後に私が抱っこして控室から会場へ移動し、棺の中へ寝かせた。

 
 
 

お布団と枕も私たちが持ってきたものにしてもらった。

 
 

式が始まると、私は極力「無」でいようと努めた。

 
 

イヤだイヤだと思っても進んでいくし、止めることはできないから。

 
 
 
 

棺の中に、ぬいぐるみや絵本、肌着、くつ、
みんなに昨晩書いてもらったメッセージカード、
私からたいせいへの手紙、親子3人で写した写真、
そして入院中と同じように私の母乳を含ませたガーゼのハンカチ顔元にを入れた。

 
 

小さなサイズの棺でもたいせいには大きかったけど、
たくさんの愛してる証でいっぱいになった。

 

(葬儀屋さんとの打ち合わせの時に勧められた通り、
棺の長さを2尺ではなく3尺にしてよかったと思いました。)

 
 

みんなにもお花や折り紙を入れてもらって蓋を閉めた。

 
 

でも、私が母乳を(冷凍パックのまま)入れた事に気づいたスタッフさんが

 
 

『最後におっぱい飲ませてあげましょうか。』

 
 

と言ってもう一度蓋をあけてくださった。

 
 

樒の葉で母乳を口に含ませて、
残りを紙コップに移し口元に近いところに置いた。

 
 
 

そして再び蓋を閉め、出棺。

 
 
 

火葬場に着くまで、私は横でずっと棺に手を置いてたいせいに話しかけていた。

 
 
 

火葬場に着いて、炉の前で最後のお別れをする。

 
 
 

もう戻れない、触れられない、顔も見ることができない。

 
 

炉の中に入って行くのを見て、

 
 

『いやだ』と泣き叫んだ。

 
 

大人になってから、泣き叫ぶことなんかないと思っていた。

 
 
 

夫に支えてもらわなければ立っていられなかった。

 
 

でも、目を背けずに扉が閉まるまで見届けた。

 
 
 

たいせいのことを最後まで一瞬でも見逃したくなかったから。

 
 
 

炉に火が入る時が一番辛かった。

 
 
 
 
 

約1時間後、収骨に戻ると小さなたいせいは、
さらに小さく細い骨になっていた。

 
 

早産の子は骨が残らないこともあると聞いたけど、
頭や大腿骨らしい骨はちゃんと残ってくれていた。

 
 

小さな骨壷だと全部入らないかもしれないと言われたけど、
細かい骨まで全部入れてもらった。

 
 

最後に夫と私で、頭蓋骨を骨壷に入れた。

 
 
 

小さな骨壷に収まったたいせいを胸に抱いて外に出ると、
外は梅雨とは思えない暑いくらいのいいお天気だった。

Mail Magagine

メルマガ読者さま限定の最新のお知らせやお得な情報をお届けしています。
ぜひご登録ください。