【天使になった長男のこと(18)】出産後 ⑫10日め…ママの夢。

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6月14日   火曜日。生後10日め。

 
 
朝8時。
 
NICUへ行くとまだ点滴をしていなかったので血圧は前日と変わらず17くらいだった。

 
 

落ち着いているうちに家に戻り、泊まりの荷物を入れ替える。

 
 

電話が来ないかドキドキしっぱなし。

 
 

たいちゃん、寂しがりやでかまってちゃんだから
離れるとアラームをピーピー鳴らすんだもん。

 
 

実家とマンションを往復して病院に戻ったのは16時頃。
私はもう少し早く戻りたかったけど、夫も疲れていて少し休みたかったみたいで。

 
 

母乳を入れたお湯で足浴をしてあげた。
 
 

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パパもがんばって足洗ってあげたよ。

 
 

仕事お休みしてたいちゃんのそばにいてくれてるよ。

 
 
 

2時間半くらい滞在して、今晩も家族待機室を借りるためにNICUを出、
病院内のコンビニに晩ごごはんを買いに行ったところで、またNICUから電話。

 
 

さっきまで安定してたのに。

 
 

血圧がまた下がったのかな…。

 
 
 

『心拍が下がっているのですぐ来てください』

 
 

いつもよりも強い口調で、事態の悪さを感じた。

 
 

戻っている間にも電話があり、

 
 

『会わせたいご家族の方にも連絡を』

 
 

あぁ、もうそんな状態なんだ…

 
 
 

母に連絡を入れた。声が震えていたかもしれない。

 
 

『すぐ行くから。しっかりね。』

 

と母に言われた。

 
 
 

そうだ、しっかりしなくちゃ。

 

たいちゃんの前では。

 
 

ママなんだから。

 
 

NICUに入り、たいせいのモニターを見ると心拍は50を切っていた。

 
 

こんな数値見たことない…。

 
 

抱っこをさせてもらう。

 
 

もう、本当にこれが最後かもしれない、という思いで。

 
 

抱っこしながら、たいせいにいっぱい話しかけた。

 
 

でも『がんばって』とは言えなかった。

 
 

『だいすきだよ』と言い続けた。

 
 
 

ママとパパ、交互に抱っこしていたら、
心拍がなんと110台(昨日と同じくらい)に戻ってくれた!

 
 

これには看護師さんも驚いていた。

 
 

すごいね、たいちゃん。

 
 

パパとママがちゃーんとわかるんだね。

 
 

寂しかったんだよね。ごめんね。

 
 
 

今夜はずっと一緒にいるから。

 
 

駆けつけた両親も抱っこしてくれた。

 
 

今回はじぃじも。初めてのじぃじ抱っこだね。

 
 
 

私の弟、義妹も駆けつけてくれて抱っこもしてもらえた。

 
 

みんなが来るのを待ってたみたいに、
みんなが帰るとまた少しずつ心拍が下がっていった。

 
 

先生から、

 

『たいせいくん、がんばってる。がんばってるけどね、かなり心拍も下がってもう…

 

何かたいせいくんとやりたいことありますか?』

 
 

もう、いつの間にか点滴も、血圧や酸素量や心拍を測る機械も外されていた。

 
 

モニターは、私たちから見えない角度に移動されていた。

 
 
 

そっか…もう測る必要がないんだ。

 
 

やりたいこと…ダメもとで言ってみた。

 
 
 
 

『カンガルーケアが、したいです』

 
 
 

バースプランを考えていた頃、とにかく無事に産めればいいと思っていたけど
カンガルーケアだけはしてみたかった。

 
 

たいせいは、私が全身麻酔で意識がない間に取り出され、
仮死状態だったからとてもとても無理だったし、
生まれてからも人工呼吸器や管がいっぱいで簡単には抱っこできない状態だったから
カンガルーケアはもう無理だと諦めていた。

 
 
 

だけど、やっぱりたいちゃんを胸に抱きたい。

 
 
 

先生と看護師さんが私の夢を叶えてくださいました。
 
 

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初めて、ママの肌とたいせいの肌が触れ合った瞬間。

 
 

なんてあったかいんだろう。

 
 
 

なんて愛おしいんだろう。

 
 
 

それは、ものすごく幸せな瞬間でした。

 
 

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夫が、

 
 

『たいちゃん、今までで一番穏やかな顔してる』

 

って。

 
 
 

たいちゃんも、ママの温もりと心臓の音、感じたかなぁ。

 
 
 

ずっとお腹の中で聴いてた、ママの心臓の音。

 
 

安心したかな?

 
 
 
 

そして、日付を跨いで0時32分、先生が心拍停止を確認。

 
 
 

たいせいは、ママの胸の中で眠りにつきました。

 
 
 
 
 

たいちゃん、本当にありがとう。

 
 

パパとママのところに来てくれて。

 
 

私たちをパパとママにしてくれて。

 
 

だいすきだよ。

 
 
 
 

その後、沐浴をし、体重身長などを計測。

 
 

沐浴した時の『ほへ~』って顔が可愛くて可愛くて。

 

悲しいはずなのに笑ってしまいました。

 
 

だって、ほんとに気持ちよさそうな顔なんだもん。

 
 

呼吸器も取れた顔は本当にかわいい。

 
 

私と夫の子にしては、かなりの出来だと思う笑

 
 

パパとママのいいところを取ってくれたんだね。

 
 
 
 

生まれたとき1576gだった体重は、2414gになっていました。

 
 

むくみもあっただろうけどね。

 
 

がんばったね、たいちゃん。

 
 
 

小児科の一室をお借りすることができたので、

 
 

今晩は親子3人で過ごせる。

 
 

たいちゃんを挟んで、川の字で寝る。

 
 

これも夢だったよ。パパとママの。

 
 

たいちゃんの小さな小さな手とママの指で握手しながら眠りました。

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